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製薬・医療

HPLC分析とは?原理・構成・用途と分析機関・機器選定のポイントを解説

2026.06.20

監修: 分析・計測ナビ編集部(薬剤師・技術士(化学部門)・環境計量士資格者による監修体制)

DECISION MAPHPLC分析とは?原理・構成・用途と分析機関・機器選定のポイントを解説の確認軸
1. 規制要件対象法令、測定対象、提出先の条件を整理
2. 分析方法測定法、検出下限、必要な認証・計量証明を確認
3. 依頼条件検体数、納期、費用、報告書形式を比較
  1. HPLC分析(高速液体クロマトグラフィー)とは
    1. カラムによる分離の仕組み:固定相・移動相・検出器
    2. GC(ガスクロマトグラフィー)との根本的な違い
  2. HPLC装置の構成機器と各部の役割
    1. ポンプ・オートサンプラー・カラムオーブン・検出器
    2. 主な検出器の種類と選び方(UV/VIS・蛍光・MS・RI)
    3. HPLCとLC-MS/MSの違いと使い分け
  3. HPLC分析の主な用途と対象物質
    1. 製薬・医薬品品質管理における活用(日本薬局方・GMP/GLP対応)
    2. 食品・農産物の残留農薬・食品添加物分析
    3. 環境・水質・化学物質分析への適用
  4. HPLC分析の測定フロー:試料調製から報告書まで
    1. 前処理・試料調製(抽出・精製・希釈)
    2. カラム選定と移動相条件の最適化
    3. 検量線作成・精度管理(バリデーション)と報告書
  5. 規制・基準とHPLC分析の対応関係
    1. 医薬品GMP・GLP:日本薬局方・ICHガイドラインの要求事項
    2. 食品衛生法:残留農薬ポジティブリスト制度とLC-MS/MSへの移行
  6. 分析機関・機器メーカー選定のポイント
    1. 認定・認証の確認(ISO/IEC 17025・JCSS・GLP適合施設)
    2. 対応物質・法令・感度スペックの照合方法
  7. よくある質問(FAQ)
    1. HPLCとGCはどう使い分けるのか?
    2. HPLC分析を外部機関に依頼した場合の費用・納期の目安は?
    3. LC-MS/MSへのアップグレードが必要になるのはどんなケース?
    4. 分析機関・測定機器の比較をお探しですか?
  8. まとめ
    1. 分析機関・測定機器の比較をお探しですか?
    2. この記事の情報について
  9. 分析依頼前チェックリスト

HPLC分析(高速液体クロマトグラフィー)とは

HPLC(High Performance Liquid Chromatography:高速液体クロマトグラフィー)は、液体の移動相を高圧で送液し、充填剤(固定相)を詰めたカラム内で混合物の成分を分離・定量する分析手法です。医薬品の品質管理から食品の残留農薬分析、環境中の化学物質モニタリングまで幅広い分野で採用されています。

カラムによる分離の仕組み:固定相・移動相・検出器

最も汎用的なのは逆相HPLC(Reversed-Phase HPLC)です。ODS/C18充填剤(固定相)を用いたカラムでは、各成分の固定相への吸着力の差によってカラム内の移動速度が異なります。固有の保持時間(Retention Time)で溶出した成分を検出器でシグナルとして捉え、クロマトグラムとして定量します。

GC(ガスクロマトグラフィー)との根本的な違い

GCは不活性ガスを移動相とするため揮発性物質に限定されます。HPLCは液体移動相を使用するため、高沸点・熱不安定・不揮発性の化合物——ペプチド・糖類・農薬・医薬品原薬など——に対応できます。

HPLC装置の構成機器と各部の役割

HPLC装置の構成図(流れ図インフォグラフィック)。左から右へ『移動相リザーバー』→『脱気装置』→『送液ポンプ』→『オートサンプラー(注入)』→『カラムオーブン

ポンプ・オートサンプラー・カラムオーブン・検出器

送液ポンプは移動相を高圧(数MPa〜数十MPa)かつ一定流速で送液します。オートサンプラーは試料を一定量注入し繰り返し再現性(RSD≦2%等)を確保します。カラムオーブンはカラム温度を一定に保ち、保持時間の再現性と分離効率を安定させます。

主な検出器の種類と選び方(UV/VIS・蛍光・MS・RI)

検出器は分析対象の化学的性質と要求感度に応じて選択します。UV/VIS検出器は芳香環・カルボニル基を持つ化合物の定量に広く用いられます(感度:μg/mLオーダー)。蛍光検出器(FLD)はアフラトキシン・PAHの高感度検出に使用されます。RI検出器は紫外吸収を持たない糖類・高分子に適します。質量分析計(MS)との組み合わせはLC-MS/MSとして高選択性・高感度分析を実現します。

HPLCとLC-MS/MSの違いと使い分け

LC-MS/MSはMRM(Multiple Reaction Monitoring)により夾雑物マトリックス中から目的成分をng/mL〜pg/mLオーダーで選択的に検出できます。下表にHPLC(UV/VIS検出)との主要な相違点をまとめます。

表1:HPLCとLC-MS/MSの特性比較
比較項目 HPLC(UV/VIS検出) LC-MS/MS
検出感度 μg/mLオーダー(汎用的) ng/mL〜pg/mLオーダー(高感度)
選択性 カラム分離による成分分割が必要 m/z×MRMで夾雑物を除外して目的成分のみ検出
定量下限の目安 μg/mLオーダー ng/mL〜pg/mLオーダー
前処理の注意点 夾雑物の干渉を受けやすく、クリーンアップが重要 マトリックス効果(イオン抑制・増強)に注意が必要
装置コスト・維持費 比較的低コスト 高価格・高維持費
主な用途 医薬品含量試験・純度試験・品質管理 残留農薬・動物用医薬品・PFAS・環境汚染物質の微量分析

※感度・定量下限は機器の種類・測定条件・対象物質によって異なります。目安として参照してください。

HPLC分析の主な用途と対象物質

HPLC分析の主な用途と対象物質をマトリックスで整理したインフォグラフィック。縦軸を分野(製薬・医薬品品質管理/食品・農産物検査/環境・水質分析)、横軸を代表的

製薬・医薬品品質管理における活用(日本薬局方・GMP/GLP対応)

日本薬局方一般試験法「液体クロマトグラフィー法(2.01)」では、含量試験・不純物試験・溶出試験に適用するHPLC条件の要件が規定されています。日本薬局方は医薬品医療機器等法(薬機法)第41条に基づく公定書です。GMP省令に基づく品質管理・GLPに準拠した安全性試験では、ICH Q2(R2)ガイドラインに従ったバリデーションが必要となります。

食品・農産物の残留農薬・食品添加物分析

食品衛生法第13条に基づく残留農薬ポジティブリスト制度では基準値未設定物質に一律基準0.01 ppmが適用されます。多成分一斉分析が必要なこの制度対応ではLC-MS/MS分析が主力手法として定着しています。食品添加物については食品衛生法告示に基づく公定法でHPLC法が物質ごとに規定されています。

環境・水質・化学物質分析への適用

水質汚濁防止法・土壌汚染対策法に基づく公定法においてもHPLCが採用されています。農薬・多環芳香族炭化水素(PAH)の水質分析に加え、PFAS(有機フッ素化合物)の分析ではISO 21675:2019に準拠したLC-MS/MSが主力手法となっています。

HPLC分析の測定フロー:試料調製から報告書まで

外部機関への依頼では、測定フローの各工程を把握しておくと仕様確認・結果解釈が円滑になります。

表2:HPLC分析の標準測定フロー
ステップ 主な作業内容 確認・判断ポイント
①分析目的の確認 対象物質・規制値・要求LOQ・マトリックスの確認 適用法令・目的の確認漏れ防止
②試料前処理・調製 液液抽出(LLE)・固相抽出(SPE)、クリーンアップ、希釈・定容 添加回収率70〜120%が目安
③標準溶液・検量線調製 標準品溶解・段階希釈・マトリックスマッチング検討 R²は0.999以上が目安
④HPLC条件の設定 カラム種・移動相・流速・温度・検出器波長・注入量の設定 公定法・バリデーション済み条件との照合
⑤システム適合性試験 繰り返し注入による精度・再現性の確認 RSD・テーリングファクターの基準適合確認
⑥ブランク・QCサンプル測定 バックグラウンド確認・精度管理サンプル測定 QC許容範囲(±15〜20%が目安)の確認
⑦試料測定・定量計算 保持時間による成分同定・検量線からの定量計算 検量線範囲外は希釈・再測定
⑧報告書作成 測定条件・検量線・結果・測定不確かさ・判定根拠の記録 測定条件・不確かさの明記確認

※条件は対象物質・マトリックス・使用機器によって異なります。一般的な流れの参考例として示しています。

前処理・試料調製(抽出・精製・希釈)

固相抽出(SPE)はカートリッジ型充填剤で目的成分を選択的に保持・溶出し、マトリックス成分を除去するクリーンアップ手法です。添加回収率70〜120%が一般的な品質基準となります。

カラム選定と移動相条件の最適化

逆相HPLCではC18(ODS)カラムが最も汎用的です。移動相(アセトニトリル・メタノール・水系緩衝液の組み合わせ)は対象物質の疎水性(logP値)に応じて最適化します。

検量線作成・精度管理(バリデーション)と報告書

ICH Q2(R2)ガイドラインに準拠したバリデーションでは真度・精度(RSD)・特異性・定量下限・線形性(R²:0.999以上が目安)を文書化します。報告書には測定条件・検量線・結果・測定不確かさ・判定根拠が記載されます。

規制・基準とHPLC分析の対応関係

医薬品GMP・GLP:日本薬局方・ICHガイドラインの要求事項

日本薬局方一般試験法「液体クロマトグラフィー法(2.01)」では、システム適合性試験として理論段数・テーリングファクター・RSD基準値が規定されています。GMP省令に基づく試験では分析方法の適格性確認が必要であり、GLP適合施設での安全性試験ではICH Q2(R2)に沿ったバリデーション文書の整備が求められます。

参考:厚生労働省「日本薬局方」(最新改正版・収載試験法の確認)

食品衛生法:残留農薬ポジティブリスト制度とLC-MS/MSへの移行

食品衛生法第13条に基づくポジティブリスト制度では、基準値未設定物質に一律基準0.01 ppmが適用されます。この水準の達成には残留農薬の多成分一斉分析においてLC-MS/MSが不可欠なケースが多く、HPLCからの移行が進んでいます。

参考:農林水産省「食品中の農薬等のポジティブリスト制度」(残留農薬基準値・公定分析法の確認)

分析機関・機器メーカー選定のポイント

参考:NITE 計量標準総合センター(JCSS)(分析機関の国家トレーサビリティ確認)

認定・認証の確認(ISO/IEC 17025・JCSS・GLP適合施設)

ISO/IEC 17025認定は試験・校正機関の技術能力を第三者評価した国際規格です。認定スコープに目的分析が含まれているかを確認します。JCSSは計量器校正が国家計量標準にトレーサブルであることを証明します。GLP適合施設認定は規制当局への申請データが必要な場合に必須です。

対応物質・法令・感度スペックの照合方法

依頼前に①公定法(日本薬局方・食品衛生法告示等)への対応可否、②要求LOQが機関の保証感度以下であるか、③ISO/IEC 17025の認定スコープに目的分析が含まれているか、④報告書形式が依頼目的(法令申請・品質管理記録)に対応しているかを確認してください。

よくある質問(FAQ)

HPLCとGCはどう使い分けるのか?

揮発性・熱安定性が判断基準です。揮発性の高い有機物にはGCが、熱不安定な医薬品原薬・アミノ酸・糖類にはHPLCが適しています。logP値や沸点から判断できる場合も多く、事前相談が有効です。

HPLC分析を外部機関に依頼した場合の費用・納期の目安は?

費用・納期は対象物質・マトリックス・要求感度・適用法令・機関によって大きく異なります。汎用的な医薬品含量試験と残留農薬多成分一斉分析(LC-MS/MS)では費用・期間ともに大きな差があります。依頼前に見積もりを取得し、報告書形式・適用法令への対応状況を確認してください。

LC-MS/MSへのアップグレードが必要になるのはどんなケース?

①食品衛生法ポジティブリスト制度で0.01 ppm(一律基準)の定量が必要になった場合、②PFAS等の環境汚染物質でng/Lオーダーの極微量分析が必要になった場合、③マトリックスが複雑でHPLC単独では夾雑物干渉が問題になった場合、④規制当局への申請データとしてLC-MS/MSによる確認試験が求められた場合、が典型的な移行の契機となります。

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HPLC分析の分析機関選定・測定条件の設計・法令対応(日本薬局方・食品衛生法・残留農薬ポジティブリスト制度等)に関するご相談は、分析・計測ナビにお問い合わせください。用途・対象物質・規制要件に応じた最適な分析機関・機器を中立的にご案内します。

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まとめ

HPLCは医薬品品質管理・食品残留農薬検査・環境水質分析など広範な分野で定量分析の中核を担います。検出器の選択(UV/VIS・蛍光・RI・MS)と適用法令の対応関係を理解した上で、分析機関・機器を選定することが重要です。外部機関への依頼ではISO/IEC 17025認定・JCSS・GLP適合施設の確認、要求LOQと機関保証感度の照合、報告書形式の事前確認がトラブル回避につながります。

関連法令の基準値は定期的に改正されます。所管省庁(厚生労働省・農林水産省・食品安全委員会)の公式情報を確認してください。

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HPLC分析・LC-MS/MS分析の機関選定、測定仕様の確認、GMP/GLP対応、残留農薬・食品添加物の公定法適合分析に関するご相談はお問い合わせください。

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この記事の情報について

本記事の内容は、2026年6月時点の法令・規制に基づいて作成しています。医薬品医療機器等法(薬機法)・食品衛生法・農薬取締法(残留農薬ポジティブリスト制度)の基準値は改定されることがあります。最新の正確な情報は所管省庁(厚生労働省・農林水産省・食品安全委員会等)の公式サイトで必ず確認してください

分析依頼前チェックリスト

  • 対象法令・提出先・必要な報告書形式が明確になっているか
  • 検体の種類、採取方法、必要な検出下限を整理したか
  • 見積に納期、再分析条件、追加費用、相談窓口が含まれているか